本年6月で開院34年目を迎えます。
この新年のご挨拶があと何回出来るのかと時々思うことがあります。
生涯医師というような大層な考えはとんとなく、やはり患者さんにご迷惑や、不信感を抱かせるようになったら引き際と考えます。
医師になって40年以上の歳月が経ちましたが、その間の医学の進歩は目を見張るものがあります。基礎的な医学はそれほど変わらないと思いますが、耳鼻科における手術的な治療法、例えば副鼻腔炎の手術などはその最たるものでしょう。内視鏡下に鼻腔形態を保ちつつ本来の機能を取り戻すようになっています。耳の手術も悪いところは削り取るというようなものでなく、聴覚機能をなるたけ保つようになっています。悪性腫瘍の治療においても、耳鼻科領域の癌にも抗がん剤の治療や免疫療法が積極的になっています。アレルギーの治療法もスギ花粉やダニに対する舌下免疫療法なども現れています。
ただ今もほとんど変わらないのは鼻・咽喉・耳の急性期の病気でしょう。
一般の開業医では急性の症状をいかに速やかに楽にしてやれるか、あるいは慢性的な症状でも根底的には異常ないものであれば、経過を見ればよいと自信をもって答えられることが肝要であると思います。悪性の疑いのある疾患に関して言えば、治療はできなくてもその先への橋渡しを速やかに行うことです。
最近の傾向としては耳鼻咽喉科医を希望する医師が少なくなっているようです。その影響で患者さんを紹介するにあたっても将来手術的な治療が予測されるよう疾患ではここ古河市内には現在、常勤の医師が在籍する病院がありません。検査・手術・術後のアフターケアができる病院が近くにあればよいのですが、患者さんにはご迷惑をおかけします。
今年一年も大過なく診療を行えればと願っております。ベテランの職員たちがいる限り私も安心して仕事ができます。どうぞよろしくお願いします。
院長 塚原 圭子