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2020年1月
〜たかが耳垢、されど耳垢〜

毎日の診療の中で必ずと言っていいほどごっそりと溜まった耳垢によると思われる症状を訴え来院される患者さんがいます。
きっかけは洗髪時に水が入ってふやけたり、耳垢を取っているときに自分で中に押し入れたりして急に聞こえが悪くなったり、暑い時期に耳の違和感を訴えて来院されたり、それに感染が起こって外耳炎を併発し耳痛で見えたりと、さまざまです。
こういう方は小さな耳垢ではなく耳垢栓塞と表現されるような外耳道を閉塞させてしまうような大物です。
中の鼓膜の状態もわからないで除去しなければならないので無理にひっぱったりすると何が起こるかわかりません。でも何回も通院していただくのは大変なので、なるだけ1回で終わりにしたいと考え、外来で耳垢を柔らかくする薬を入れ少し時間を置いてからとるようにしています。ただ80台前後の高齢の方では、両側を同日に処置すると眩暈などを一時的に起こしたり、また皮膚がもろくなっているのでちょっと力を入れると出血したりするので2回に分けたりしています。冷や冷やしながら処置しています。
また介護施設などに入所中の方では、少し認知症も入っているとちょっと耳をいじったりすると嫌がってしまい難儀することもあります。
今回はいわゆる耳垢栓塞がどういうものか患者さんにご協力いただき、その所見を供覧いたします。
先ずは、わたくしの両側の耳をお見せしますので、それと比較してください。
私の耳は過去に耳疾患もなく自分で言うのも何ですがbeautifulです。
向かって左に右耳の所見、右に左耳の所見を示します。
あとは片方だけの耳垢栓塞の患者さんを2例、その後は両側の耳垢栓塞の患者さんです。


これは私の鼓膜です。
左の鼓膜はきれいに見えますが、右に乾性の耳垢が詰まっています。
右の鼓膜はきれいですが左の鼓膜は粘度の高い耳垢が詰まっています。
両側粘性の耳垢です。
両側乾性の耳垢です。
両側乾性の耳垢です。
ちょっと湿性の耳垢です。
 ちょっと粘性の耳垢です。
 これもちょっと粘性の耳垢です。
両側の外耳道の狭窄とその奥に粘性の耳垢があります。
外耳炎による外耳道狭窄とそれに伴って表面には耳漏があります。
☆最後に写真撮影にご協力いただいた患者様にお礼申し上げます。

御覧のように耳垢といっても本当にいろいろです。