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2017年7月
〜鼻の中に歯が生えているんです?・・・逆性歯について〜

鼻の調子が悪いとのことで、お母さんに連れられて中学生のお子さんがお見えになりました。鼻の粘膜の状態はいかにも通年性のアレルギーがあるという方でした。鼻の中をよーく覗いていると右鼻腔の中の奥の方に白い塊がみえます。吸引管で突いてみると歯のような硬さです。腫瘍性のものは考えにくく、また、異物の可能性もありますが、表面が歯のエナメルのように見えます。

お母さんのご了解を頂き、鼻の写真と鼻腔内の内視鏡の検査をさせていただきました。 やはり逆性歯でした。めったに見ないものですが、私は過去に2人見ていたような記憶があります。勤務医時代と、開業してから間もなくだと思います。

逆性歯についての文献的な考察をおこないます。

逆性歯の形態としてはすべての歯の形をとる可能性があるようですが、犬歯型が一番多いようです。今回の患者さんも犬歯型でした。逆性歯の患側はわずかに左側が多いとされていますが、この患者さんでは右側でした。

臨床症状としては、鼻閉、鼻出血、鼻汁、頬部痛、頬部違和感などがあるとされていますが、無症状の症例が比較的多いとされています。今回の症例はたまたま、アレルギー性鼻炎の症状が強く出て来院されて発見されました。

治療についてですが、無症状の場合は経過観察でもよいとは思いますが、この症例ではある程度の大きさになっており、今後の注意としては、逆性歯を核として、鼻石を生じることもあるという事です。また長い間放置していると、歯の表面が腐食等により形態が変化して、悪性腫瘍との鑑別が必要になってきます。

その様なことを踏まえて、今回の患者さんには、夏休みに摘出術を受けるようには勧めました。

逆性歯の場合はあまり歯根はしっかりしていませんので、鉗子等でうまく抜去できるのではないかと思います。