トップページへ 院長の気ままな話題
 
2016
〜みんなまんまる顔です (^。^)〜

今年の春は流行性耳下腺(おたふくかぜ)の患者さんが当院でも何人かお見えになりました。本当にお面のおたふくさんになっていました。みんなかわいいおたふくさんでしたので、付添いのお母様のご了解を得て写真を撮らせていただきました。

幸いにもこの子たちは局所の腫脹のみで大きな問題点もなく無事回復しました。子供たちの回復後の顔写真も撮らせていただきました。全部の唾液腺が腫れるとこんな感じとなります。もちろん片方の耳下腺だけだったり、耳下腺が腫れてなくて顎下腺だけが腫れていたりと、いろいろのパターンのかたもあります。

症例(1)
腫れているとき 普通の時

症例(2)
腫れているとき 普通の時

症例(3)
腫れているとき 普通の時

症例(4)
腫れているとき 普通の時
   

大唾液腺には上記のように3種類が1対ずつあります。それらが全部腫れてくると写真を撮らせていただいたお子さんのようになります。

いわゆる内科学書の説明では、流行性耳下腺炎とは、ムンプスウィルスの飛沫感染もしくは接触感染により起こる感染症で、耳下腺や、顎下腺などの唾液腺の腫脹を特徴とします。潜伏期間は14〜21日で、好発年齢は3〜6歳です。

体内に入ってきたウィルスは上気道粘膜およびリンパ腺で増殖し、ウィルス血症を起こして耳下腺、髄腔など全身に広がります。感受性の高いい臓器は、唾液腺、膵臓、精巣、精巣上体、卵巣などの腺組織と中枢神経系です。ウィルスは発症数日前から耳下腺の腫脹が消えるまで排泄されます。

臨床症状としては、潜伏症状に引き続いて、発熱(時に無熱)、耳下腺の腫脹で始まります。耳下腺の腫脹は一側、両側、時期がずれて両側の場合があります。まれには、顎下腺だけの腫脹の方もいます。ちょっと硬くなって、圧痛を伴うようになります。細菌性耳下腺炎のように発赤を伴うことはありませんし、耳下腺を圧迫して耳下腺開口部からの膿汁の排出もありません。会話や食事の際や、酸っぱいものを食べた際に痛みが増すのも特徴です。耳下腺以外にも顎下腺や舌下腺が腫れる場合もあり、約一週間で耳下腺の腫脹は引けてきます。唾液腺の腫脹があるまでは感染性があるので隔離が必要です。

みなさん唾液腺の腫れだけで済み、無菌性髄膜炎や、ムンプス難聴、卵巣炎、精巣炎も合併しないで治りましたので、安心です。

感謝! なお私の写真の撮り方が今一つでしたので、申し訳ございませんでした。