口の中を見ると先ず目に入るのは、舌です。
舌の表面は人によってさまざま。
全身的な病気の表れとして出る舌の変化。口腔内の細菌叢の変化に伴い、舌表面の色調が変化して、黒くなったり、白くなったり。あるいは舌にしわや溝が形成されたり。はたまた、地図のような模様が出たり。口内炎や潰瘍性変化があったり。いろいろ。
異常所見と考えられるものもあれば、正常範囲のものもあります。
まず、私どもの舌と当院の職員の舌を供覧します。人の顔が十人十色であるように舌もいろいろあります。
皆さんご協力ありがとうございました。実はこの中に私の舌もあります。最初から2番目ですが、少し舌尖が荒れていて赤みがかっています。実際食事のとき、ひりひりした感じがあります。
次に舌の構造を示します。
舌は上下左右前後とよ〜く動く器官です。いろいろな筋肉が絡み合って形成されています。外舌筋と内舌筋があり、それらのなかに、オトガイ舌筋、舌骨舌筋、茎突舌筋、深・浅縦 舌筋、横舌筋、垂直舌筋など。わたしもよくわかりません。自分の舌を思い切り動かしてみて、これらの筋肉が働いているのだと思ってください。あと表面には味覚に関与する乳頭(毛のようなもの)がはえていて、それもいくつか種類があります。糸状乳頭、茸状乳頭、葉状乳頭、有郭状乳頭などです。
次に外来で見受けられる舌を供覧します。
地図状舌…原因不明、ストレスなども影響するといわれます。模様もその時により変わるようです。自覚症状はないようです。よく見受けられます。
舌炎…舌のびまん性の発赤や、口内炎をともないます。
舌カンジダ…抗生剤や抗がん剤の使用、免疫の低下などにより生じます。
舌白板症…前癌状態ですが、前述のカンジダ症と区別がし辛いです。
舌癌…舌の前縁にできることが多いです。男性に多いです。
黒毛舌…舌に黒い毛が生えたようになっていますが、抗生剤やステロイド剤による菌交代現象により、舌の糸状の乳頭が伸びてしまった状態です。口の中の衛生状態が悪い時にもみられます。
|