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●耳鼻咽喉の季節の話題


2009
咽喉頭異常感について

咽喉頭、いわゆるのどに異常感を訴える患者さんは多くいらっしゃいます。
訴えの表現としては、多彩にあり、詰まった感じ、なにか異物がある感じ、圧迫される感じ、実際の食事とかには支障はないが、食べ物が支える感じ、痰が絡んだ感じ、何と無くのどがすっきりしない感じなど、etc.です。
訴えの部位としては、だいたいのど仏の下、いわゆる甲状軟骨の真ん中あたりが多いようです。
このような異常感は局所のいろいろな病変によって生じることもありますが、全身的疾患によって起こることもあるし、精神的要因によって引き起こされることもあります。
通常の耳鼻咽喉科的診察によって、異常感の原因が発見できないこともあります。
原因疾患の鑑別としては次のようになります。


局所的原因
  形態的な異常 頸椎異常
    過長茎状突起
     
  腫瘤 舌根扁桃肥大
    食道癌
    下咽頭癌
     
  甲状腺異常 亜急性甲状腺炎
    バセドー病
    単純性びまん性甲状腺腫
    橋本病
     
  慢性炎症 慢性上咽頭炎
    慢性扁桃腺炎
    慢性副鼻腔炎
     
  全身的要因 薬物の副作用
    糖尿病
    内分泌異常
    貧血
    自立神経失調
     
  精神的要因 精神病
    心身症
    神経症
    がん不安

実際の耳鼻科での診察において、最も多くみられるのは、訴えの場所とは少し離れた部位にある慢性炎症が多いいと思います。例えば、慢性副鼻腔炎、慢性扁桃腺炎、慢性上咽頭炎などです。慢性副鼻腔炎では後鼻漏といって鼻汁がのどにまわったりして常に何か張り付いている感じがしたりします。ファイバースコープで見るとのどにすじ状に鼻汁が回っている所見があります。慢性扁桃腺炎ではなんとなく腫れぼったい感じが続いてたり、意外と多いのが慢性上咽頭炎だと思います。のどと鼻の間に何かあるような感じでのど全体の違和感、上あごのほうが痛いような感じがしたり、痰がいつもへばりついているような感じとか…etc.正常でも鼻からのどへ粘液は知らず知らずのうちに落ちています。特に問題のない方でも、軽い風邪をひいた後など少し違和感がつづくことがあります。

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