トップページへ 院長の気ままな話題
 
●耳鼻咽喉の季節の話題


2008
耳鼻咽喉科の検査 〜インピーダンスオージオメータ〜

浸出性中耳炎や耳管狭窄の診断に外来で頻用する検査です。自覚的検査ではなく他覚的 検査です。その概要に関しては説明文を掲載します。

動作原理
インビーダンス部(等価容積測定)では、発振器で生成された226Hzのプローブ音が、等価容積検出回路の増幅器を介して掛算器に送られ、イヤープローブ内のイヤホンにより、被検者の外耳道ヘブローブ音が出力されます。
外耳道内に発生するプローブ音はイヤープローブ内のマイクを経由し、アンプ、積分器などを経て、外耳道内の音圧を一定に保つ様に制御させる為の信号となります。この制御信号は、掛算器を制御して外耳道内の音圧を一定に保つ様にプローブ音を制御するのと同時に、イヤープロープから見た中耳を含めた音響的な等価容積に相対する電圧となるので、これをA/D変換し、制御部に取込むことにより、等価容積の測定か出来ます。
刺激音は、刺激音部の純音発生器で生成され、生成された音は等価容積測定部の増幅器を介して掛算器に送られます。掛算器では、測定コントロール部によってコントロールされたアッテネ一タ値に応して、刺激音の音圧レベルを変化させます。掛算器から出力されか刺激音は出力切替スイッチ及び増幅器を介して、気導受話器またはプローブに
出力されます。
圧カコントロール部は、制御部の制御信号によりイヤープローブを経由して外耳道内の圧力を制御します。圧力及び刺激音のパラメータを変更して等価容積を測定することでチンパノメトリーや耳小骨筋反射検査をおこないます。
測定・表示コントロール部は、各種スイッチの読み込み、機器内部の各種切替の制御、発振器の制御、刺激音レペルの制御、圧力制御部の制御、被験者の応答スイッチの読込み、シートスイッチ上のLEDや液晶表示器への表示、プリンターヘ出力などを行っています。

難しい話は別として、次の写真@のように耳の中にプローブを挿入して、音圧の変化に応じた鼓膜の動きを見る検査です。簡単に言うと、そんなに簡単ではないのですが、外耳道の圧を陰圧から陽圧に連続的に変化をさせると、中耳圧と一致したところでコンプライアンスが最も高くなりピークが得られます。耳管機能が正常の場合、ピークが0mmH?O付近に得られます。(タイプA) 中耳に浸出液があるとピークは得られず平坦なカーブとなります。(タイプB) 耳管狭窄により中耳腔が陰圧になるとマイナス側にピークが変移します。(タイプC) タイプAにはピークが深くなるAd型と、ピークが深くなるAs型とがあります。Ad型では耳小骨連鎖の離断、As型では耳小骨の可動性低下が疑われます。鼓膜穿孔があると外耳道の気密性が得られないので検査はできません。(5)参照



(1)は検査をしている風景です。(2)は実際の器械の写真です。(3)は両側検査した後の器械上の液晶画面です。右が赤で左が青線です。(4)はこのグラフをプリントアウトしたデータです。ちなみにこれは私の耳です。正常です。検査の時に耳を引っ張って、プローブを挿入し、陽陰の圧の変化を加えますので、ちょっと痛い感じがしたりして、小さいお子さんなどでは怖がってやりづらい場合もあります。また、外耳道の大きさによってプローブをかえなければならないので、患者さんによっては何回もプローブを変えフィットするまで試行錯誤します。

【院長の気ままな話題バックナンバーページへ】