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2018年7月
〜インフルエンザと血液型との相関関係〜 (個人的な見地から)

2017年冬から2018年春までの当院のインフルエンザの終息は3月24日でした。4月になると高熱の方もいましたが、インフルエンザではなく、溶連菌感染症の方が目立ったようです。3月25日以降、インフルエンザを疑って検査をしても皆さん陰性で、中には花粉症による発熱ではと思われる方もいました。

さて、1月17日の朝のテレビ番組で血液型とインフルエンザの罹患率についてのコメントがありました。大体はその血液型の占める割合と罹患率の相関関係が推測されますが、果たして少し偏移があるのか、少々興味を持ち私共の診療所の富士フィルム・イムノドライケムでインフルエンザが陽性になったかたで血液型と予防接種の有無を聞き得たかたの統計を出させていただきました。幼少児では血液型を調べてないかたもいました。確かに日本ほど血液型を重視する国はないのかもしれません。性格判断や恋愛判断などにも大きく関わっていると考えていますが、必要があれば検査するということでもいいのかなと思いますが・・・。

全国的に今年のインフルエンザは年末から増え、1月から2月の中旬まで患者数は多かったと感じます。3月に入ると徐々に患者数は減り、花粉症の患者さんが圧倒的に増え、その中で、妙な発熱や全身症状を訴える人のなかで、インフルエンザがぼちぼちといらっしゃいました。この時期は気温の変動もあり、体温調節もうまくいかなくていわゆる風邪になる方もいて、花粉症なのか風邪なのか、はたまた、インフルエンザの軽症の方なのか判別に苦慮する場合もたびたびありました。

高熱でなくとも全身症状を強く訴え,また普段熱発でお見えにならない方ではインフルエンザを疑って検査をしました。また患者さんの中では「隠れインフル」とかいう都市伝説的な表現で検査を希望される方もいました。症状はそれほど強くはないのだけど、同僚がインフルエンザになっていたり、孫がインフルエンザになったりして、心配だからと言って検査を希望される方もいました。そういう方で陽性反応が出たりした場合もあり、いわゆるインフルエンザのイメージとは違う方も少なからずはいらっしゃいました。

診断技術が発達した今では24時間を待たずにイムノドライケムでは陽性となります。

 

日本人の血液型の比率は下記のようになります。

A型 39% B型 22% O型 29% AB型 10%

 

では当院の1月17日から3月24日までの診療実日数45日でインフルエンザ陽性者185名おりました。その中で血液型の判明した166名の血液型による分布は

A型 39% B型 20% O型 33% AB型 8%

 

で、それほど血液型の分布と相違はないようです。テレビではAB型の罹患率が他の血液型の方より高いといわれましたが、当院ではかえって逆の結果がえられています。母集団が少ないので、何とも言えません。

また、予防接種の既往がはっきりわかった180人のかたでは、有病率は接種者が42%、未接種者が59%でした。当院での調査期間でのインフルエンザの型はA型が32%、B型が68%でした。2017年の年末よりB型の発生が多くみられ、その後もB型が流行を占めA型に移行してきたという例年と違うパターンでした。

 

4月に入って珍しく高熱の方でインフルエンザA型がでました。

この原稿は4月10日を締めとしました。

 

結論としては血液型との有病率には相関関係はなく、インフルエンザの罹患者の6割が予防接種を受けていませんでした。したがってインフルエンザの予防には予防接種が有効であったと結論づけられました。

患者の皆様のご協力ありがとうございました。