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2016
〜痰が多いってどういうこと?〜

喉の異物感や痰が多いとの訴えでお見えになる患者さんは毎日必ず複数いらっしゃいます。

では耳鼻科的にのどに痰が多い状態とはいかなる状態をいうのか内視鏡をされた方で、その所見を提示いたします。先ずはいつもの正常の喉頭を示します。

正常の人
症例(1) 2か月前より声がかすれる
症例(2) 風邪の症状とともに声がすれとたんが多い
症例(3) 数年前より痰が多い
症例(4) 2か月前よりのどの違和感あり
症例(5) 咽頭痛と声枯れ
症例(6) 1週間前から声枯れ
症例(7) 咽頭痛と発熱、声枯れ

鼻腔や咽頭の粘膜には異物を除去する機能があります。繊毛と呼ばれる無数の毛が異物を捉えそして粘液と一緒にのどの方に流れ、食道に入り、排せつされるか、または痰として口から出していきます。

風邪などによりこの粘膜の輸送機能が低下して、咽頭や喉頭にへばりついていると、確かに違和感などの原因になります。透明感〜白〜膿性と変化にとんだ所見があります。

こういう患者さんには去痰剤を処方するわけですが、一般的に多く処方されているのはムコダインとムコソルバンです。ムコダインは粘液糖タンパク、粘液の産生そのものを減らすことができ、ムコソルバンは肺のサーファクタントの分泌を促進することによって、気導粘膜表層の痰を滑りやすくする作用があります。

一般の風邪などで、痰がたくさん出てしょうがない方にはムコダインを処方し、粘稠な痰が出て、のどに引っかかってしょうがない方にはムコソルバンを処方します。痰が長引いて両者の様相を呈している場合は両方を処方します。