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2014
〜耳と鼻の異物について…特に子供を中心として〜

「異物」については、広辞苑によると「体外からもたらされ、または体内に発生した、体組織となじまない物質。」と定義されています。  ここでは、子供が自主的に入れてしまった異物で、耳と鼻に限って述べてみます。  この場合、だいたいが面白半分で何気なく入れてしまい、本人は覚えていないのがほとんどです。ご家族が、入れる行為を目撃してたり、耳に関しては、ご家族が耳垢をとろうとしたら何か色のついたものや、丸いものがあるとか、鼻では片方の鼻から臭いにおいがしたり、なかなか鼻汁が収まらないとの訴えでおみえになります。  異物も長い間、介在していますとそのまわりに、耳垢や鼻汁が付着してわかり辛くなります。外耳道では皮膚炎を生じたり、鼻では片側性の急性副鼻腔炎を生じたりします。  外耳道異物に対しての異物摘出術は220点、鼻腔異物に対しての異物摘出術は690点です。 外耳道異物の点数が低いのは、外耳道が鼓膜までであり、距離も短いからです。鼻腔異物では、奥行きが広く、咽頭腔に通じており、のどに異物が落ちる可能性もあります。 また、全面が粘膜でおおわれていますので、摘出にあったては、鼻粘膜を傷つけ出血することもあります。  皆さんは点数的には良いとは思われるでしょうが、幼児の異物除去は大変です。簡単に取れる場合はラッキー。子供が暴れて泣き叫んだりする場合は、もう職員一同へとへとです。おうちの方に子供を抱いてもらい、子供の頭は絶対動かないように大人が二人がかりで押さえ、そのほか足押さえに肩押さえと必要になってくる場合がままあります。2~3歳の子供ではまだ力が弱いので、がっつり押さえられますが、これが協力的でない学童になると、力も出てくるので、超大変です。子供1人に大人が5人という場合も往々にしてあります。  とる方の私はというとあの手この手と試行錯誤してとることもあります。プラスチック製の球体のものはとり辛いですね。一応ご家族には、皮膚や粘膜を傷つける可能性もある旨をお話しし、tryします。  下の写真は私が外来で耳と鼻の異物をとるときに使う器具です。 先ずは耳鏡に鼻鏡。吸引管で吸って取れれば御の字です。 あとは異物の性状に合わせて、本来は異物除去用の器械でないものも考えて使用しています。

(1)両側に入っていた外耳道異物…母親が耳の中に何か入っているのに気づく
右耳(ピンクのプラスチックの玉) 左耳(固めたティッシュ)
(2)両耳に何かを入れたことを覚えてない小学生・・・(1)と同じような経過
右耳(青い円盤状のプラスチック製品) 左耳(黄色の円盤状のプラスチック製品)
(3)鼻の中の異物…右鼻腔異物の訴えで来院するも左側にも異物の介在あり
右鼻腔(黒いリング状のゴム製品) 左鼻腔(右と同様の黒いリング状のゴム製品
(4)左鼻腔異物(黄色のプラスチック製の玉)

両側に異物が入っている子供はあまりいません。だいたいが片方だけです。 最初異物があると訴えた方を確認して、念のため反対側を確認するとあったということがあるわけです。

大人では鼻腔異物はほとんどなくたいていは外耳道異物です。内容としては綿棒の先・ティッシュ・砂・昆虫類・種子・etc.

 

最後に大人の方の耳の異物ですが、少し衝撃的です。何か右耳がおかしいとの訴えで来院されたのですが、外耳道・鼓膜にごく小さな点状出血が多数があり、反対側正常。もう一度右耳を観察していると2mmぐらいの小さな虫が元気よく動き回っている所見がありました。患者さんにはご協力いただき虫の映像をとらしていただきました。感謝。 テレビモニターを見ながらみんなでゾゾッーでした!

動きがかなり活発でしたので、水攻めにして退治成功!ただし、吸引の際に虫も一緒に吸引してしまい、一見落着でした。

 

 

※下の2つは同じ内容の動画ファイルです。

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