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2014
〜いつもの病気と思ったら実は・・・!〜

去年もその前も、慢性の中耳炎の急性憎悪で見えている患者さんが、「今日は耳ではなくて、鼻がつまるんです。」とおっしゃいました。私も「じゃ、少し風邪気味なんですかね。」と軽い気持ちで、鼻を鼻鏡で覗き込むと、そんなに鼻の粘膜も腫れていないし、鼻汁も出てないし、それほどひどくないのかと思いながら、今度はのどを見ると、何かある!口蓋垂の脇に何やら、ちらっと見えるものが・・・。鼻が詰まるなんて今まで言ったことがないぞと思いつつ、去年も、一昨年も耳は見ているけど、鼻やのどは見ていませんでした。

そうなると、少し話が違います。鼻をもう一度観察するも、やっぱり後鼻孔あたりはもはや鼻鏡では確認できません。どうも怪しいものがあるので内視鏡で確認させていただくことを、患者さんには了解していただき、そのまま鼻腔内視鏡施行。

左の鼻閉を強く訴えていたので、先ず左鼻腔に内視鏡を挿入すると、びっくりしました。左後鼻孔に栓をしたように腫瘤が陣取っていました。次に右鼻腔を内視鏡で確認するとやはり、後鼻孔のおよそ半分以上を占める腫瘤がありました。

鼻茸とか、そういったものではなく明らかに上咽頭を占める巨大な腫瘍でした。先ずは、患者さんが他の病気でかかっている病院に依頼してCTを撮っていただきました。

上咽頭にできるものとしては、成書によると、良性腫瘍としては、血管繊維腫、神経鞘腫、リンパ管あるいは血管腫、軟骨腫、骨腫、脂肪腫、乳頭腫、多形線種などがあります。

他方悪性腫瘍としては、癌腫、肉腫、脊索腫などがあります。

この方の場合は、やはり組織検査の結果を待たないと、はっきりわかりませんが、印象としてはリンパ線由来のものではと考えますが・・・。もはや、こちらで手を尽くすことは何もありませんので、大学病院での検査と治療に委ねます。

 

口の中をのぞいた所見では向かって右に何か膨隆したものがあります。

下の写真は向かって右が左の後鼻孔で左が右の後鼻孔です。ほぼ同じ断面の写真を鼻中隔を中心にして一つの後鼻孔としてまとめました。一番下はCTの写真で、水平断ですので、後鼻孔がこんな具合に腫瘤で占拠されているということをしめしました。