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2010
本当はこわい喉頭の炎症

急性喉頭蓋炎といって喉頭の炎症が強く起こり、呼吸に問題が生じる病気があります。これは一般の内科の先生とかでは見落としかねない病気です。意外と咽頭の所見が軽微でその割にはのどの痛みとか嚥下障害とか、少しぜいぜいしたり、異物感が強かったり、全頚部の圧痛なども強かったりと、耳鼻科医が間接喉頭鏡でみて初めてわかります。

覗いてみると、のどの奥の喉頭蓋が風船状に丸くなっていたり、一部膿瘍状になっていたりします。呼吸に支障きたすぐらい腫れている場合は、最悪の場合は気道確保のための気管切開も念頭に入れ、それに対応できる病院へ紹介します。下の写真は当院に本年5月に来院された患者さんです。

左の写真は少し遠めからのど全体を見ています。右は真ん中に何かプヨプヨした半球状の粘膜の物体があります。これが喉頭蓋で、普通は下のようになっています。軟骨の表面が粘膜で覆われています。遠目で見ると声帯も見え、気管入口部もきれいに見えます。

ちなみに先の患者さんは、帰宅されてから、のどの違和感と閉塞感が増強したために市内の病院に入院して治療していただきました。こちらとしても安心です。万が一、急速に喉頭蓋の腫脹が強くなったりすれば、一刻を争うことになりますから…。

次に示す3枚の写真は、最初がやはり高度の喉頭蓋炎で、2枚目は軽度、3枚目の写真は喉頭蓋にできたのう胞(ふくろ)です。喉頭蓋炎の軽度の場合は投薬(ステロイドも含めて)して、2〜3日後に来ていただき、腫れの具合を見せていただきます。また、のう胞の炎症のため喉頭蓋炎も起こすことがあります。ちなみに3枚目ののう胞の方は多房性で3つ形成されています。喉頭蓋を圧迫しているわけでもなく、嚥下にも支障ありませんので、様子を見ていただきます。

喉頭というと喉頭癌やポリープが思い浮かばれますが、こういう喉頭蓋に関った病態もあるわけです。

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