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●耳鼻咽喉の季節の話題


2009
めまいの検査(1)

最近当院で購入した、いわゆるフレンツェル眼鏡についてお話ししたいと思います。 私どものめまい検査機器は、一般の耳鼻咽喉科の診療所と比較して充実していると思います。ENG検査等も積極的に行っていますが、この眼鏡検査は、めまいを主訴で来院された患者さんの当に今のめまいの状態を確認するのに最適だと思います。凸レンズを使って固視を弱めて拡大した眼球運動を観察する従来のフレンツェル眼鏡より格段にすぐれています。というのは、患者さん自身は暗視下にあるので他からの影響を受けません。暗視下での眼振、自分ではコントロールできない目の動きが赤外線によりCCDカメラを通して、テレビの画面に大きく拡大され映し出されます。そしてビデオに録画されますので、現況がどのようになっているのか、またその回復過程の確認などの説明に、実際に録画された患者さんの状態を見ながらできます。ですから、医師と患者さんが病状を共有することができます。
  めまいの項で述べたように、めまいと一口にいっても、本当にものが回転して見える、いわゆるめまいや、何となく体がフワフワしたり、足がよろけたり、血がサーッと引けるような状態などいろいろあります。 ただ、共通して言えるのは、いつまで続くのか、いつまた起こるのかという不安感を患者さんがお持ちになり、またその不安がめまい感を大きくするということが言えます。耳鼻咽喉科で扱うめまいは大方命にかかわるようなものはないのですが、このめまいという得体のしれない不安な状態は他の者にはわからないものなのです。
  残念なことに忙しい外来の中でめまいの患者さん一人にだけ、時間を割くことはできませんので、ジャストタイムにめまいの検査を行い診断を進めることは今の医療状況ではなかなか困難です。また、めまいが落ち着いてから来院されても所見がなければ推測でしか診断できません。
  では実際はどうかというと、小さな眼振では、患者さんが目をキョロキョロ動かしてしまうとわかり辛くなるし、方向固定性のものでもはっきりしない場合もあります。そこに廻旋成分があるかなど、非常にわかりづらくなります。めまいを専門にやっている方では見慣れていることでも、一般診療のなかで、ちょっとだけかじってやっているようなわたしには、本当に診断に苦慮する場合があります。ちなみに眼振の表記の仕方はつぎのようにします。


  

下の写真は実際の検査風景です。
 

初診時に患者さんの訴えであるめまいが実際にあるのか、あるいは頭位や体位、頭を振ったりして、内耳を刺激して誘発されるめまいがあるのか、観察していきます。
  ここに眼球は一つしか映し出されないのは、いわゆるめまいの場合、両側の動きは同様です。  このように大きく拡大されると、そのめまいが廻旋しているのかも観察されます。
  下がこの器械のパンフレットです。

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