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●耳鼻咽喉の季節の話題


2008〜2009
ヘルペスと耳鼻咽喉科

帯状疱疹とかヘルペスとか言って思い起こすのは、胸の肋骨の走行に一致して起こる水痘・帯状疱疹ヘルペスとか、風邪などや体調が悪い時に口唇の周囲にポツポツとできる単純疱疹ヘルペスです。

今回は耳鼻咽喉科で問題となる水痘・帯状疱疹ヘルペスに関して主に話していきたいと思います。

水痘・帯状疱疹ヘルペスは小児期の水痘(いわゆる水ボウソウ)感染後、知覚神経節にウイルスが潜伏し、疲労や免疫力の低下などがおこると発症します。耳鼻咽喉科領域としては三叉神経領域第U、第V領域に発生し、その支配領域に小水疱が出現します。口腔内では特に上あごの硬い部分の硬口蓋に片側だけにでき、水疱が破れびらんした状態となります。同様の小水疱が同側の顔面の皮膚や耳の中、耳介部分にも生じることがあります。

下の写真はつい先日来院された患者さんで、最初は口腔内の歯肉炎だと思って歯科を受診し、最終的に当院を受診された患者さんです。

  

ご覧のように左顔面の頬部、下顎、耳介周辺の水疱、痂皮、および口腔内の粘膜に水疱やびらん、潰瘍の形成があります。2〜3週間の後に全体の症状は落ち着いてきましたが、いまだに神経痛が残っており、患者さんを悩ませております。

その外にラムゼー・ハント症候群と言っていろいろな神経症状を伴う帯状疱疹もあります。耳介、外耳道の皮膚、鼓膜の知覚に関係ある、三叉神経、顔面神経、内耳神経の脳神経、および頚神経のいずれかをウイルスが侵したときにおこるものです。耳の違和感、発熱、耳の激痛に始まり、先の患者さんと同じように同側のいろいろの部分に水疱、びらん、潰瘍を形成し、のちに痂皮化して治癒します。この時、顔面神経麻痺や、難聴、耳鳴、めまいなどの症状を伴ったものを、ラムゼー・ハント症候群と言います。

耳介周辺だけにとどまった軽度の帯状疱疹の方はときどきいらっしゃいますが、ラムゼー・ハント症候群といえる方で上記の神経症状がすべて出現される方はめったにいらっしゃらないです。めまいと難聴を伴う不全型のラムゼー・ハント症候群は、頻度はすくないですがいらっしゃいます。

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