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●耳鼻咽喉の季節の話題


2008
耳鼻咽喉科の検査について 〜 耳鳴検査 〜

耳鳴りは、どの科でも患者さんからよく言われる症状だと思います。耳鼻咽喉科でも耳の症状としては頻度の多い訴えです。

なかなか客観的に捉えることの難しい症状ですが、先ずは耳の中の状況を確認しなければなりません。外耳道、中耳腔の疾患がないかどうか、耳垢詰まりでも耳閉感ばかりでなく、耳鳴りを訴える方もいますし、中耳炎でも同様の症状を訴えるかたもいます。視診で局所的に異常がない場合は内耳との関係を見なければなりません。ここで必要な検査は聴力精密検査になります。聴力が正常で耳鳴りを強く訴える方は、精神的なものから起こる場合もあります。血圧の高低などの循環器系の影響でもおこることがあります。その他の内科的な疾患から、たとえば、貧血や肝臓の障害や腎機能不全などでも出る場合があるようです。

聴力図が出たら今度は耳鳴りの評価をします。これがこれからお話しする耳鳴検査です。 この大いに自覚的な症状を少しでも客観的に評価して患者さんの訴えになるたけ具体的な評価を与えるものです。次の写真は検査中の写真です。

 

先ずは患者さんの表現する耳鳴りに当たりをつけていきます。耳鳴りのあるほうの耳で類似音があるかどうか調べます。耳鳴りのある側が決めにくい場合や、両側に耳鳴りがある場合は片方の耳に検査音を聞かせます。検査音には純音、バンドノイズ、ホワイトノイズの3種類があり、純音、バンドノイズには125Hz〜12kHzにわたって周波数を選ぶことができます。次に検査音の大きさのレベルを5db単位で選んでいきます。こうして患者さんの感じている耳鳴りを客観的にとらえようと努力していくわけですが、耳鳴りは主観的要因が強いので検査が困難な場合もあり、患者さんに類似音がないといわれてしまう場合もあります。

聴力図との関係で言うと、経験的には感音性難聴に伴って生じる耳鳴りが非常におおいです。年をとってくると耳が遠くなってきます。そして耳鳴りを訴えてくるようになります。耳鳴りの多くは生命に関わりのないものがほとんどですが、患者さんはなにか重大な病気の前ぶれではないかと不安に思って来院されます。もちろん重大な病気を見逃してはいけませんが、だいたいは原因不明の耳鳴りが多いです。

現段階では耳鳴りのメカニズムがわかっていなません。耳鳴りを完全に止める方法も当然わかっていません。

特効薬はありませんが、耳鳴りを緩和させていくであろうと考えられる薬はありますので、患者さんの必要に応じて処方はしております。ある程度は耳鳴りと共生していくように指導していきます。

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