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●耳鼻咽喉の季節の話題


2007
【口内炎について】
口内炎 表1
  誰でも1度は口の中の口内炎に悩まされたことがあると思います。私もたまにですが、体が疲れたりしている時に、歯茎に口内炎ができて、その痛みで、よく食べ物が噛めなかったり、歯磨きが思うようにできないことがあります。今回はよくある口内炎について、考察してみます。上の表は口内炎の分類です。なんかいろいろありますが、少しずつ説明していきたいと思います。ただし、一般の診療所ではお目にかからない疾患に関しては、細かい説明は省略させていただきます。

1.化学的ならびに物理的障害
化学的障害
【症状と所見】 強い酸やアルカリやそのほかの化学薬品を誤って口に入れた場合に粘膜の腐食による急性の炎症が生じます。
【治療】 原因となった薬剤を十分に洗浄し、酸に対してはアルカリで、アルカリに対しては酸で洗浄します。

物理的障害
・機械的障害
【症状と所見】 自分で誤って口の粘膜を噛んだり、固いものや異物による口の粘膜の擦過傷、事故などによる切り傷、さらに虫歯や不適合な義歯の接触など。

・電気的障害
【症状と所見】 幼児が電気コードをなめて感電し、接触部位に焼けどを生じます。そのほか、金属冠、ブリッジなどの歯科で用いられる金属が唾液中で微弱電流を生じ、遊離した重金属イオンにより組織障害が生じます。
【治療】 原因の除去

・放射線障害
【症状と所見】 悪性腫瘍の治療で口腔領域に放射線が照射される場合に、放射線性口内炎が生じることがあります。
2.非特異的炎症
カタル性口内炎
【症状と所見】 口腔細菌の繁殖により、口腔粘膜に生じる単純性口内炎の総称です。急性期には口腔粘膜のびまん性の発赤、軽度の浮腫性腫ちょうがみられます。刺激性の食べ物を摂取すると、灼熱感やしみる感じをともないます。慢性期には自覚的症状はほとんどないです。
【治療】 原因除去、うがいによる口内消毒や内服薬。

壊死性潰瘍性口内炎
口腔内の衛生環境の悪化や全身の免疫力の低下などが誘引となります。

ジフテリア性口内炎
【症状と所見】 ジフテリア菌による急性感染症で、主として飛まつ感染により鼻腔咽頭粘膜で増殖し、次に扁桃腺などに波及して、偽膜形成を特徴とします。ジフテリア菌の産生する外毒素が病巣から吸収されて血流に入って全身に広がり、心筋炎や腎炎、神経炎などをひきおこします。耳鼻科の教科書には必ず書いてありますが、見たことありません。

しょう紅熱性口内炎
【症状と所見】 A群β溶連菌が咽頭および扁桃に感染し、2〜3日の潜伏期を経て急に高熱を発し、咽頭、扁桃さらには口腔に急性炎症をきたします。ときに感染巣に偽膜を形成します。増殖中に産生される発赤毒素が血流をかいして全身に広がり、発熱から1〜2日以内にほとんど全身に発疹が生じます。
これの軽い症状、すなわち全身の発疹を伴わない咽頭所見と発熱だけの溶連菌感染症が今は多いです。

口角びらんあるいは口角潰瘍
【症状と所見】 口角の粘膜皮膚結合部に生じるびらんまたは潰瘍で、両ソク性に生じる場合が多いです。成人では中年以降の女性に多く、起因菌はレンサ球菌、ブドウ球菌、カンジダなどであす。局所的には口腔乾燥症、よだれの増加、咬合異常や義歯装着が誘因となり、全身的にはビタミンB2欠乏症、糖尿病、貧血、、胃腸疾患、免疫力の低下などが誘因となります。
3.アフタ性疾患
アフタ性口内炎
【症状と所見】 再発を繰り返すのが特徴的で再発性アフタ性口内炎と呼ばれます。孤立性または多発性の境界の明瞭な大小さまざまな類円形の粘膜病巣を作り、疼痛を伴います。所期には水泡が生じ、直ちに破れてびらんとなり、浅い潰瘍が生じ、表面には黄白色の苔が付着します。潰瘍の周辺には紅暈が見られ、通常、1週間、長くとも2週間ぐらいで治癒します。瘢痕は残しませんがなかには1ヶ月以上続くこともあります。若い人に多く、高齢者には比較的少ないです。

ベーチェット病 
【症状と所見】 口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍、再発性ぶどう膜炎、陰部潰瘍を3特徴とし、さらに皮膚炎をともなうものもあります。その他、関節や中枢神経にも病変を発症する全身疾患です。このなかでも、アフタ性の粘膜病変はもっとも発現頻度が高く、その病状、組織像は前述のアフタ性口内炎と同様です。したがって他の症状が発現するまで、両疾患の鑑別は困難です。15〜30歳までに多く発症し、長い経過をたどり、わが国では頻度は高いようです。
4.特異的炎症
結核 
【症状と所見】 口腔結核はまれです。多くは排出される結核菌を含有した喀痰によって、口腔内の粘膜に2次感染して発症します。

梅毒
【症状と所見】 口腔粘膜には臨床的経過により第一期、第二期、第三期でそれぞれ異なった病像がみられます。
5.真菌症
カンジダ症
【症状と所見】 真菌であるカンジダは口腔内で非病原性の常在菌ですが、菌交代症を含む日和見感染の原因菌として病原性を発揮し口内炎を招来します。
6.ウィルス性疾患
口唇ヘルペス
【症状と所見】 単純疱疹ウィルスの感染症によるものです。口唇、特に粘膜と皮膚の境界部に集まって出現する小水疱が特徴です。多くの場合、水泡でなく痂皮形成の状態で認められます。再発しやすく、4〜8日で治癒します
最初に掲げた表にはまだまだ記載されていますが、あとのものは一般の診療所で口内炎だけの主訴でみえることはないので、最初に述べましたように省略させていただきます。
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