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●耳鼻咽喉の季節の話題


2007
耳鼻咽喉科の検査について〜聴力検査〜

私たちの聴力を評価する最も単純で、もっとも基本的な検査が聴力検査(オージグラム)です。耳鼻咽喉科を受診して聴覚障害が疑われる症状を訴えた場合には、先ずどの耳鼻咽喉科でもその症状を評価するにあたって、検査すると思います。皆さんの中でも耳にヘッドホンをあてて検査されたことがあるとおもいます。あるいは小学校や中学校で1度は聴力の検査を受けていると思います。

普通、音は空気中を伝わって耳に達します。これが空気伝導(気導)で、空気中を伝わってきた音は、外耳道を通って鼓膜に達し、鼓膜を振動させimg01ます。鼓膜の振動はこれにつながるツチ骨、キヌタ骨を経てアブミ骨に伝わり、内耳窓のひとつである前庭窓にはめこまれているアブミ骨の底板が振動を内耳液に伝え、内耳が振動します。

また、振動している物体を直接頭蓋骨にあてて音を聞くこともできます。このような音の伝わり方を骨伝導(骨導)といいます。

内耳が正常で、外耳や中耳に音の伝導を阻害する何らかの障害がある時は、気導による伝達は障害されますが、骨導による伝達は障害されません。

そこで、通常の気導音による聴力と同時に骨導音による聴力も測定すれば、障害が外耳、中耳にあるのか、内耳以後にあるのかを鑑別することができます。外耳、中耳による障害による難聴を伝音難聴、内耳以後の障害を感音難聴といいます。またその両者が混合した難聴を混合性難聴といます。

まず、聴力検査をする場所を説明します。

私どもの診療所では聴力検査の器械は2台あり、1台は診察室に設置した1人用の防音室で検査をします。この場合、閉所が苦手な方や小さいお子さんでご家族の方が同伴されないとできないような場合や、やはりご年配でご家族が同伴されていたほうがよい場合には、別の独立した検査室で、看護師が相対で検査させていただきます。患者さんの検査の理解度や、具合を見ながらやれます。下が検査中の写真です。

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1人様の防音室での検査風景
( 実際の検査では扉を閉めて行います。)
個室で、対面しながらの検査風景

まず、聴力図の簡単な説明をします。下が一般的な聴力のグラフです。

125、250、500、1000、2000、4000、8000Hzの7周波数について、左右の気導聴力閾値を調べます。右耳は○印で、実線でむすびます。左耳は×印で、点線で結びます。骨導聴力は250、500、1000、2000、4000Hzの5周波数について調べ、右耳は   、左耳は  であらわします。

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では、実際のオージオグラムを見てみましょう。

この図は右耳が感音難聴で、左耳が混合性難聴です。左耳の8000Hz気導、2000Hz、4000Hz骨導は測定できずに、スケールアウトといってであらわされています。たとえばの例ですが、少しご年配の方で全般的な聴力が低下していて、左の耳が慢性の中耳炎や、鼓膜の穿孔を伴っている方に見られるオージオグラムです。

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こういった聴力検査ができるのは年齢的にいって、4〜5歳ぐらいからです。あくまでもこの聴力検査は、自覚的な検査ですから、こちらの説明を理解し、検査音を自覚したら、スイッチを押すということがわかるということが前提になってます。小さいお子さんですとあまり楽しい検査ではないので、飽きてしまい、検査に集中できないことがよくあります。そういうときは、保護者の方に同室していただき、横で見守っていただくようにしてます。また、個人的な資質で、検査ができない場合があります。また、検査できても臨床的には普通に聞こえているとしか思えないのに、検査結果がおかしいという場合があります。そういう場合には日を変えて再検させていただきます。

以上、基本的な聴力検査について簡単に説明しました。細かいデータの説明は検査を受けた医療機関で納得いくよう説明を受けてください。

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