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●耳鼻咽喉の季節の話題


2006
【夏にむけて起こりやすい耳の病気】

●耳垢栓塞
耳垢腺と皮脂腺の分泌物、剥奪上皮や塵埃が一緒に固まって外耳を閉塞します。ほとんど気づかないことが多いですが、洗髪や水泳などで耳垢がふやけると耳の穴をふさぎ、急に難聴や、耳鳴り、耳の詰まった感じなどがあらわれます。患者さんの耳を診察すると、茶色、黒っぽい固まりがあります。やわらかいのも硬いのもあります。一年中ある病気ですが、夏場にその症状が出やすくなります。耳垢をやわらかくする薬を点耳して、やわらかくして取っていきます。とっても固かったり、外耳道の炎症をともなっている場合や、両側の場合はじょじょにとっていきます。全部とり終えると、患者さんはすっきりした感じになるようです。なかには、つわものの耳垢もあって、取っても取っても、まだまだという場合もあり、びっくりするような量の耳垢がとれることもあります。

●外耳道異物
小さい子が耳の中に面白半分でビービー弾やビーズ、消しゴムなどをいれてくることは一年中ありますが、昆虫などの異物は夏に多くなります。夜寝ている時に、何か虫が入ってしまい、ごそごそ動いたりして、耳の痛みもともないます。虫も必死なのでしょうか、後ろに後戻りすればよいのですが、そういうわけにはいかないようです。鼓膜や外耳道に傷があったりして、もがいた跡がみられます。外来にお見えになった時に、まだ虫が生きている場合もあります。そういう時は、先ず虫を眠らせてから、摘出します。いろいろな子虫の場合もありますが、ゴキブリの幼虫の時は、こちらも気持ち悪いです。あと、昼間、庭で作業していて、虫に飛び込まれることもあるようです。

●外耳道炎
耳垢腺、皮脂腺のブドウ球菌感染症により起こるようです。もとは、耳をいじりすぎたり、入浴や、中耳炎などの炎症による耳漏が誘因になります。軽い場合と重い場合がありますが、ここでは、重い場合を述べます。強い痛み、時には、頭のてっぺんに響くような痛みや、歯のほうにまで放散通があったり、顎を動かすと増強したり、発熱も伴うことがあります。耳のまわりのリンパ節も腫脹します。見ると外耳道の皮膚は赤く腫脹し、中の鼓膜が見えないぐらい腫れて、消毒の綿棒も入らない場合もあります。耳をひっぱったり、押したりすると痛みは増強します。何日かすると、膿が出てきたりします。周囲の皮下組織の炎症を伴うと。痛みはひどくなりますし、治り辛くなります。糖尿病の患者さんは重症化する場合があります。そうそう、なかには、くぎとか、楊枝で耳の中を掻いたりしてなる人もいますね。中年以降の男の方に見られます。治療は、局所の処置や全身的な抗菌剤の投与で治していきます。

●外耳道湿疹
中耳炎の経過中の耳漏の刺激で湿疹ができたり、全身的な湿疹傾向のある人の部分的な症状としての湿疹もあったり、神経的に耳をいじらないと気が落ち着かない人が掻きすぎてなったりと、いろいろありますが、私の感じでは、最後の理由の人が多い印象をもってます。耳介、耳介付着部、外耳道入口部が赤くはれ、湿潤し、びらん、漿液性の耳漏が出ます。それが落ち着いてくると、痂皮形成、落屑がみられます。そうすると、またしても、掻痒感がでてきて、いじりたくなります。そうすると、今度は2次感染がおこり、外耳道炎をおこすこともあります。やっぱり、梅雨時のじめじめした季節には多い気がします。この時期って何となく耳の中も湿っぽい気がして触りたくなるんですよね。まあ何でもやりすぎはだめですね。

●外耳耳真菌症
外耳道炎のひとつと考えられますが、外耳道の深部に真菌が寄生すると、その刺激のために、表皮が盛んに剥奪して、膜様物になってこの部分をおおいます。かゆかったり、耳が詰まった感じがしたり、時には、痛みや難聴がおこったりします。漿液性の耳漏もでることがあります。色はしろかったり、黒かったりとカビの種類によって、色が異なります。アスペルギルスが1番多く、つぎにカンジダです。人間にもカビが生えます。真菌症は根気よく治していきましょう。やっぱり暑くなってきて、じめじめとしめった季節に、多いいんですよね。食べ物にもカビが生えやすい時期には、人間にも生えやすいのです。
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