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Q.121 嗅覚障害について
A.121

コロナウィルスの症状の一つとして比較的多くの人に見られたものとして、特に鼻の症状がなくても嗅覚障害と味覚障害が伴っていたようです。ここで嗅覚についておさらいします。
以前は私共のホームページで掲示したような基準嗅覚検査を行っていましたが、大変申し訳ないのですが現在はやっておりません。必要のある方は嗅覚検査を行っている市内のクリニックにご紹介しています。
では、先ず嗅覚障害診療ガイドラインにおける嗅覚障害の分類を表示します。

量的嗅覚障害
嗅覚脱失(anosmia):においの感覚が失われている状態
嗅覚低下(hyposmia):においの感覚が弱まった状態 
質的嗅覚障害
異嗅症(dysosmia)
刺激性異嗅症(parosmia):本来のにおいと異なるにおいを感じる状態
自発性異嗅症(phantosmia):においがないのに、においを感じてしまう状態
嗅盲(olfactory blindness):特定のにおいだけを感じない状態
嗅覚過敏(hyperosmia):嗅覚閾値の低下はないのにも関らずにおいを強く感じて不快感が生じる状態
その他
悪臭症(cacosmia)
自己臭症(egorrher symptom)
幻臭(hallucination)
鉤回発作(uncinate epilepsy)

上記のようになっているようですが、その他の項目に挙げられている障害名は私どもでは縁がありません。
また嗅覚障害は病態の観点から、気道性嗅覚障害、嗅神経性嗅覚障害、中枢性嗅覚障害の3つに分類することもできます。
気道性嗅覚障害とは、鼻呼吸時に外鼻孔から吸入された空気が嗅細胞の存在する嗅裂部に到達しないことによる嗅覚障害で、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎が代表的な原因です。
嗅神経性嗅覚障害は嗅細胞が傷害を受けて嗅覚低下をきたす状態です。ウィルス感染により嗅細胞が傷害を受ける感冒後嗅覚障害に加え、顔面・頭部の外傷で嗅神経軸索が傷害を受けることで生じる嗅覚障害に含まれます。
中枢性嗅覚障害は、嗅球から、嗅素、大脳前頭葉に至る頭蓋内の嗅覚路障害で生じる嗅覚障害です。中枢性嗅覚障害の原因は外傷が多いのですが、近年はアルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患に伴う嗅覚障害もあります。

以上の中で嗅覚障害の原因としては慢性副鼻腔炎が最も多いです。
さて今回のコロナウィルスによる嗅覚障害はいわゆる感冒後嗅覚障害と考えますが、ただコロナウィルスの患者さんでは鼻炎症状もなく嗅覚障害・味覚障害が出現していることを考えると鼻腔内上鼻道にある嗅細胞がウィルスによりダイレクトに傷害を受けたものと考えます。



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Q.122 鼻中隔湾曲症について
A.122

健診などで鼻中隔湾曲症という診断を受けて来院される方がいます。
この診断を受けても単純に鼻中隔の湾曲だけであって特に何ら症状もなく病的所見を引き起こしてないものは病気ではありません。
私自身が右の鼻の通りがやや悪い感じがします。普段は意識しないのですが、胃カメラは鼻腔からやってもらっていますので、その時どっちの鼻のとおりが良いのか聞かれますので、恐らく右に鼻中隔が曲がっているのでしょう、左鼻腔から難なくやってもらっています。性格も右に曲がっているかもしれません。

さて鼻中隔は鼻中隔軟骨、篩骨垂直板、鋤骨、上顎骨で成り立っていますがこれらが縫合す場所に生じやすいです。中には軟骨が異常に発達してしまい、前鼻孔を鼻鏡で開いたとたん鼻中隔が張り出していて鼻内所見が取れないという方もいます。
鼻中隔湾曲症による症状としての鼻閉、頭重感、鼻出血や副鼻腔炎の合併となれば治療の対象となります。私が治療上で困るのは滲出性中耳炎で耳管カテーテル法をしなければならない患者さんです。反対側の鼻腔からやや湾曲を強くしたカテーテル管を入れ患側の耳管開口部を狙います。やはり同側から入れるよりは効率が悪くなります。
根本的な治療としては鼻中隔の矯正術となりますが、湾曲が鼻腔後方では手術的な治療も困難になり、鼻中隔に大きな穿孔を残すこともあります。

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